ゲーマー冥利につきる
物語がどうこうって話は前ちょろっとしましたが、今回は普通の、見る人の何かを訴えない娯楽的物語について書きたいと思います。
もちろんそんな話にテーマだったりはありますが、今回はそのへんはカットで。物語の話、というより演出の話、という話が近い気がします。
ゲームという媒体の強み
所謂ソーシャルゲームもそうですが、一番ゲームで強いところはプレイヤーとのインタラクティブさだと思います。
自分がこう動かそうと決め、そう動かすことで敵を倒したり話が進んだりする、そしてその快感が次へのインセンティブになるってのは他の物語を語る媒体では不可能だと思います。
他媒体で可能な働きかけは取捨選択のみ、本も映画もアニメもドラマも見るか見ないかだけの選択肢があるのみです。そういった意味で、現在物語を語る媒体として最も先進的になりうるのはゲームであると私は考えています。
さて、ここまで来たところで本題に行きます。私の浅薄な経験の中でも、ゲームならではの演出でしか成し得ない物語を紡いでくれた作品がいくつかあります。その中でも三作、新しい経験を見せてくれたゲームを紹介しようと思います。
ネタバレがあるので、やってないから見たくない方はすいません。
私の大学生活一年目を破壊した悪魔のようなゲームですね。プレイ時間100時間超えましたし。
ペルソナ3は、システム的には普通であり、敵と戦ってストーリーを進めたりサブクエをこなして強化したりするどこにでもあるタイプのRPGです。
では何が革命的だったかというと、日常パートです。
ペルソナ3では、サブクエが日常パートに組み込まれています。友人とラーメンを食べたり、女の子とカフェにいったりする、青春高校生活って趣きですね。
ストーリーは一つの都市の中でのみ進行されるため、飽きるぐらい同じ場所で同じ音楽を聞いてって具合なわけですが、これこそが他のゲームにない物語を見せてくれる要素でした。
ストーリーの進行に応じて、街中に廃人チックな人がどんどん増えていきます。その理由とそれを起こす原因が現れた時、街中の景色が一気に退廃的になり、音楽もどこか哀愁ただようものに差し替えられます。
見慣れた世界、退屈な日常に慣れさせておいてそれを徐々に壊す演出、自分の世界が揺らぐような感覚を起こしてくれて、日常の大切さに気づかせてくれる。最後に主人公が命を捨てて救おうとする気持ちとリンクして、今までにないカタルシスを与えててくれたと強く思いました。
ダンガンロンパ1、2
これもまた一気にやって生活リズムが破綻しましたね……。昨今のゲームで一位二位を争うほど意欲作ではないでしょうか。
1だけとか2だけとか言わず、一気にやって欲しいです。2の最後の演出に世界がひっくり返ること請け合いです。
世界がひっくり返る、とは言ってもそんな物語は世の中に飽和するほどあります。さらに言えばこのゲームのそれは自分がいた場所が電脳空間だったって言うもはや古典SF的話です。
では何が違うか、というとやはりゲームでしかできない演出、アニメと折半したような3Dモデルです。
2のラスボスは1と同じなのですが、アルターエゴとして出るわけです。電子空間ならではの、「でっかいラスボス」というそれ自体はまぁよくあるのですが、それまで人間サイズの見た目的には人間のままなキャラしか登場していないわけです。
そこの虚を突くような巨大な人間のラスボス、作品内で散々言われてきた圧倒的絶望が視覚的に体験できるところ、それこそダンガンロンパの魅力であると思います。
ニーア・レプリカント
3つめはニーアです。
もはや語るまでもないですが、ニーアのエンドは1人を救うためにセーブデータを消す、という前代未聞の勝負に出ています。
セーブデータはいわばプレイヤーがそのゲームで経験した全て、主人公が大切な人を救うためにすべてを捨てる、という演出としては非常にわかりやすいものだと思います。
しかし、思いつきはしてもやりはしないタイプのものであり、四次元殺法コンビのあれを少し思い出しました。
r‐、
| ○ | r‐‐、
_,;ト - イ、 ∧l☆│∧ 良い子の諸君!
(⌒` ⌒ヽ /,、,,ト.-イ/,、 l
|ヽ ~~⌒γ ⌒ ) r'⌒ `!´ `⌒) よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ ⌒~~ / 「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが
│ 〉 |│ |`ー^ー― r' | 大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ
│ /───| | |/ | l ト、 | 王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は
| irー-、 ー ,} | / i 作れないぞ!
| / `X´ ヽ / 入 |
とはいうものの話としては王道なんですよね、スパイス的に入ることで物語の感動をブーストさせる、そういう使い方として非常に優れていると思いました。
惜しい作品群
僕と彼女と彼女の恋、Fate/Grand Orderを挙げたいと思います。
まずは通称ととの、今までオタクが消費して捨ててきたヒロインってどうなのよってことを言いたかったのは非常にわかるのですが、ストーリーとしてそこまで面白くないことが致命的だったように思います。
まとめサイトなんかで発売直後に発狂したブログとそれを大々的に載せるというステルスしてないステマを展開してて当時ドン引きしてました。
話を全面的にメタにする、という手法とあいまって正直全体的に、上手く表現できないですがキモさが溢れてたのが完全にマイナスです。
次にFGOに関してです。
奈須きのこ氏、及びシナリオライターの方々とタイプムーンで提示したコンセプトは「ソシャゲの遠いけど確実に仲間がいる、という感覚を活かし2016年以降の世界が崩壊した世界を取り戻す」でした。
ゲームを作る側、ディライトワークスの醜態によってもはや機能しない物となってしまいましたが、型月の意図通りに事が進んでいたらひょっとしたらソシャゲ業界に衝撃を与えてくれたかもしれない、非常に惜しい作品だと思います。
まだやってない、やりたい作品
特にバテンは、ネタバレを見てしまったのが悔しいですが、非常に演出が優れていると聞くので凄くやりたいです。
この流れで、一つだけ始祖にしておそらく超えられないであろうゲームといえばlainでしょうか。アレは精神が安定してかつプレミア価格を買える余裕ができたらやります。多分、一番やばいやつなので深く言及しませんが詳細はググってください。
以上が私が衝撃を受けたゲームとこれからやりたいゲームでした。
個別にあげた3つのゲームの素晴らしいところは、ざっくりまとめれば対価に比較して報酬が遜色ないところでしょうか。
特にニーアの演出はいわばドラクエの復活の呪文みたいなもので、一歩間違えれば怒りと炎上とロッカーになってたと思います。
しっかりとしたリターンを与えつつ、斬新な演出がこれから先出ることを期待して締めようと思います。