nagi103’s diary

好きなものだけ語りたい

ガルムウォーズ考察(全編ネタバレあり)

 

原作なしだといまいちパッとしないと言われがちな押井守監督の最新作、ガルムウォーズを見に行きました。

断片的な情報が多く、ある程度の補完をセルフでという向き合い方ができなければ理解しづらい内容であったと私は感じました。そういうわけで、備忘録的なものも兼ねて文章化を試みます。解釈の違いはあると思いますが、僕はこう感じたというものとして受け止めてくれれば嬉しいです。

 

本筋について

ガルムの星、アンヌン。僕はまずこの星を「仮想人類を配置し、未来観測をする実験場」であり、かつ「失敗した場合に仮想人類を自壊させるためにドルイドという自浄装置を配置している」という想定をしました。

ガルムには生殖による繁殖ができない(許されていない)ため、関連して地球にいる現人類は何らかの理由で繁殖に制限がかかっていると想定します。現実的に考えれば人口爆発によって全国版一人っ子政策のようなものが実施されている、そしてそれですら抑制できずテクノロジーによる強制生殖抑制が実施されているのかと。

ガルムにはクローンを作り記憶を引き継ぐ技術があるため、人間も現状身体が腐ったら交換するような生命存続を行っている事が推察できます。

さて、それでは人間はガルムに何をさせようとしていたか。その答えは「生殖を奪われた人類の行動シミュレーション」。そして、また生殖という禁断の行為に手を伸ばす可能性が出た場合、ドルイドによるガルム殲滅が起こるように仕向けているのでしょう。

そして僕はウィドはシミュレーション構造にある程度気づいていたのではと思いました。

彼は人間を「嫉妬」と命名しました。ガルム創造主はガルムを製造した際にもしもガルムが創造主を超えた場合に嫉妬して破滅させるのでは、と考えたのかと。

では何故彼はドルイドをガルム破滅のキーだと感じつつアンヌン中枢に接続させたか、彼が求めるものは推察の裏付け、そしてガルムは創造主を超えたと示したかったのではないでしょうか。ある意味一番ガルムの未来を想定していたのかもしれません。

 

さて、ここまで来てようやく主人公の話に移ります。生殖をさせたくないならば何故ジェンダーが存在してるかのアンサーが彼女です。

カラはあの世界では数少ない女性でした。生殖をさせたくなければそもそも性別を設定する必要性がないでしょう。おそらくガルム製造にあたり、正確なシミュレーション結果を観測するためにやむなくでしょう。おそらく彼女にも生殖器は存在していると思います。

 

さて、そしてもう一つ大事な要素として、グラの存在について言及しなければならないでしょう。グラはおそらく元ネタはディルムッドを誘惑したグラニアだと思われます。生殖の堕落に落ちる可能性が高いガルムを選別する「人間に近いガルムに懐く犬」であり、肉欲の堕落に導く魔性の女という存在だったのでしょう。

 

以上がガルムウォーズ本筋への考察です。現状の人間の戦争シミュレーションと生殖制限による人間の行動シミュレーションの結果人間の想像通り自制できず生殖による多様性の確保に走る可能性が高まった段階でガルム粛清ってとこで本編は終了しています。

 

これは個人的な願望が入りますが、あのあと人類の嫉妬の権化たるドルイド兵はガルムに負けてしまうのではないかと考えています。冷戦時の地球人類と同じく、共通の敵を持つことでガルム全種族は団結し、全面戦争へ突入しました。時間の止まった人類とこれから先の発展可能性があるガルム、僕は未来に生きるガルムが買って欲しいと考えます。

 

小ネタ

カラはカーラネミが元ネタじゃないかと。「時の外輪」と呼ばれる存在です。23は災いを呼ぶ数字とよく言われています。

ウィドは名前の方では思いつきませんでしたが、256はSSL暗号通信でも使われる現状最長の暗号の長さである256bitが元ネタではないかと。

グラはグラニアで、前述のとおり人を堕落させる存在。スケリグとナシャンはイマイチ思いつきませんでした。

 

 

このくらいでしょうか。間違ってるとこがあればコメントとかいただければ嬉しいです。