nagi103’s diary

好きなものだけ語りたい

ゲーマー冥利につきる

 

物語がどうこうって話は前ちょろっとしましたが、今回は普通の、見る人の何かを訴えない娯楽的物語について書きたいと思います。

もちろんそんな話にテーマだったりはありますが、今回はそのへんはカットで。物語の話、というより演出の話、という話が近い気がします。

 

ゲームという媒体の強み

所謂ソーシャルゲームもそうですが、一番ゲームで強いところはプレイヤーとのインタラクティブさだと思います。

自分がこう動かそうと決め、そう動かすことで敵を倒したり話が進んだりする、そしてその快感が次へのインセンティブになるってのは他の物語を語る媒体では不可能だと思います。

他媒体で可能な働きかけは取捨選択のみ、本も映画もアニメもドラマも見るか見ないかだけの選択肢があるのみです。そういった意味で、現在物語を語る媒体として最も先進的になりうるのはゲームであると私は考えています。

 

さて、ここまで来たところで本題に行きます。私の浅薄な経験の中でも、ゲームならではの演出でしか成し得ない物語を紡いでくれた作品がいくつかあります。その中でも三作、新しい経験を見せてくれたゲームを紹介しようと思います。

 

ネタバレがあるので、やってないから見たくない方はすいません。

 

ペルソナ3

私の大学生活一年目を破壊した悪魔のようなゲームですね。プレイ時間100時間超えましたし。

ペルソナ3は、システム的には普通であり、敵と戦ってストーリーを進めたりサブクエをこなして強化したりするどこにでもあるタイプのRPGです。

では何が革命的だったかというと、日常パートです。

ペルソナ3では、サブクエが日常パートに組み込まれています。友人とラーメンを食べたり、女の子とカフェにいったりする、青春高校生活って趣きですね。

ストーリーは一つの都市の中でのみ進行されるため、飽きるぐらい同じ場所で同じ音楽を聞いてって具合なわけですが、これこそが他のゲームにない物語を見せてくれる要素でした。

ストーリーの進行に応じて、街中に廃人チックな人がどんどん増えていきます。その理由とそれを起こす原因が現れた時、街中の景色が一気に退廃的になり、音楽もどこか哀愁ただようものに差し替えられます。

見慣れた世界、退屈な日常に慣れさせておいてそれを徐々に壊す演出、自分の世界が揺らぐような感覚を起こしてくれて、日常の大切さに気づかせてくれる。最後に主人公が命を捨てて救おうとする気持ちとリンクして、今までにないカタルシスを与えててくれたと強く思いました。

 

ダンガンロンパ1、2

これもまた一気にやって生活リズムが破綻しましたね……。昨今のゲームで一位二位を争うほど意欲作ではないでしょうか。

1だけとか2だけとか言わず、一気にやって欲しいです。2の最後の演出に世界がひっくり返ること請け合いです。

世界がひっくり返る、とは言ってもそんな物語は世の中に飽和するほどあります。さらに言えばこのゲームのそれは自分がいた場所が電脳空間だったって言うもはや古典SF的話です。

では何が違うか、というとやはりゲームでしかできない演出、アニメと折半したような3Dモデルです。

2のラスボスは1と同じなのですが、アルターエゴとして出るわけです。電子空間ならではの、「でっかいラスボス」というそれ自体はまぁよくあるのですが、それまで人間サイズの見た目的には人間のままなキャラしか登場していないわけです。

そこの虚を突くような巨大な人間のラスボス、作品内で散々言われてきた圧倒的絶望が視覚的に体験できるところ、それこそダンガンロンパの魅力であると思います。

 

ニーア・レプリカント

3つめはニーアです。

もはや語るまでもないですが、ニーアのエンドは1人を救うためにセーブデータを消す、という前代未聞の勝負に出ています。

セーブデータはいわばプレイヤーがそのゲームで経験した全て、主人公が大切な人を救うためにすべてを捨てる、という演出としては非常にわかりやすいものだと思います。

しかし、思いつきはしてもやりはしないタイプのものであり、四次元殺法コンビのあれを少し思い出しました。

      r‐、
      | ○ |         r‐‐、
     _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  良い子の諸君!
    (⌒`    ⌒ヽ   /,、,,ト.-イ/,、 l  
    |ヽ   ~~⌒γ ⌒ ) r'⌒ `!´ `⌒) よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが
   │ ヽー―'^ー-'  ( ⌒γ ⌒~~ / 「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' | 大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |  王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は
   |  irー-、 ー ,} |    /     i 作れないぞ!
   | /   `X´ ヽ    /   入  |

   

とはいうものの話としては王道なんですよね、スパイス的に入ることで物語の感動をブーストさせる、そういう使い方として非常に優れていると思いました。

 

惜しい作品群

僕と彼女と彼女の恋、Fate/Grand Orderを挙げたいと思います。

まずは通称ととの、今までオタクが消費して捨ててきたヒロインってどうなのよってことを言いたかったのは非常にわかるのですが、ストーリーとしてそこまで面白くないことが致命的だったように思います。

まとめサイトなんかで発売直後に発狂したブログとそれを大々的に載せるというステルスしてないステマを展開してて当時ドン引きしてました。

話を全面的にメタにする、という手法とあいまって正直全体的に、上手く表現できないですがキモさが溢れてたのが完全にマイナスです。

次にFGOに関してです。

奈須きのこ氏、及びシナリオライターの方々とタイプムーンで提示したコンセプトは「ソシャゲの遠いけど確実に仲間がいる、という感覚を活かし2016年以降の世界が崩壊した世界を取り戻す」でした。

ゲームを作る側、ディライトワークスの醜態によってもはや機能しない物となってしまいましたが、型月の意図通りに事が進んでいたらひょっとしたらソシャゲ業界に衝撃を与えてくれたかもしれない、非常に惜しい作品だと思います。

 

まだやってない、やりたい作品

バテン・カイトスICO、ワンダなんかがそれでしょうか。

特にバテンは、ネタバレを見てしまったのが悔しいですが、非常に演出が優れていると聞くので凄くやりたいです。

この流れで、一つだけ始祖にしておそらく超えられないであろうゲームといえばlainでしょうか。アレは精神が安定してかつプレミア価格を買える余裕ができたらやります。多分、一番やばいやつなので深く言及しませんが詳細はググってください。

 

 

以上が私が衝撃を受けたゲームとこれからやりたいゲームでした。

個別にあげた3つのゲームの素晴らしいところは、ざっくりまとめれば対価に比較して報酬が遜色ないところでしょうか。

特にニーアの演出はいわばドラクエ復活の呪文みたいなもので、一歩間違えれば怒りと炎上とロッカーになってたと思います。

しっかりとしたリターンを与えつつ、斬新な演出がこれから先出ることを期待して締めようと思います。

屍者の帝国の映画を見ました


ネタバレがあるので多めに空白取ります、お気をつけください





























この映画を見て思ったことは「物語の力」を感じた事です。

それは作品の物語が良かった悪かったという意味ではなく、作られた物語のもつ力、という意味です。


原作小説では、作られた物語が一つの物体Xを生み出すほどの力を持つこと。しかしながらわかりやすい物語によって理解しやすい形になることへの警戒も示唆されていました。


少しばかり話が飛びますが、物語の力というと最近放送されたGレコを思い出すモノがありました。

非常に単純に言うと、戦争をするため、新しい兵器を試すために大人達が自分に都合のいい物語を作り、その戦争を恋愛にお熱な若い学生が気づいたら止めてたぐらいの内容だったんですよね。


物語の持つ力は計り知れないモノがあります。代表的な所を挙げればナチスドイツなどでしょうか。

自らの正義を通すための物語、物語の力は人を殺すことすら肯定するのです。



さて、ここまで来た所で映画の話に移りましょう。

映画版屍者の帝国は極端な話、映画という二時間尺で収めるためにかなりの要素をスポイルすることで。また原作の明確な目的のない旅に一つの目的を付与するために二つの要素を与えました。

一つはフライデーを友人の遺体とすること。

一つはザ・ワンの妄執。

フライデーの設定付与は、原作にはなかった物語としての明確な目標をつけました。友人を復活させる、という目標は単純明快な終着点でしょう。

また、ザ・ワンの妄執は友人の復活を妨げるわかりやすいラスボスを作り出すこと。


物語の力を示した原作は映像化に伴い、皮肉なことに観客がわかりやすい様に魔王を倒し恋人を救う様なストーリーを構築してしまった。


映像化というハードルを前に、この落とし所は妥当なところだったのでしょう。映像、演出、音楽共に非常にハイレベルな映画が実現できていた様に感じました。


王道エンターテイメントとしては優秀でも原作にあったいい所はかなりスポイルされている。

それを受け入れることができるかは見る人次第というとこですかね。


視点をアイコンに集中させること

 

唐突ですが、あなたの一番好きなキャラクターを想像してください。

 

 

今回は、創作物を愛し、コンテンツ消費を趣味とする人たちを想定して一つお話をしようと思います。

「キャラクターのアイコン化」についてです。

 

現代には様々な創作物が溢れ、所謂メジャー、同人のようなインディースに属するものを含め、おそらく全て把握出来る人はいないほどのストーリーが作られています。その中には億を超えるキャラクターが存在しているものです。

キャラクターを印象づける第一印象、それは「見た目」です。

そこからキャラクターの性格が語られ、生い立ちが語られ、ストーリーが展開していく中でキャラクターに愛着がわくという感覚。

しかし、近年、「見た目」以降の感覚が削ぎ落とされ、それを端的なキャラ付けで補うコンテンツが増えている感覚があります。

 

例えばソシャゲ。このコンテンツでは特に強く感じています。

もちろん早期にキャラクターを好きにさせ、課金する、という図式が企業の収入になる以上仕方のないことだとは認識しています。

しかしながら、例えばピーキーな性格を取り入れるとき、例えばストーリーがあるコンテンツですとそうなるバックヤードを語るのが一般的です。

それを語らず要素だけを入れる、というのはいささか邪道なのではないかと感じてしまうことがあるのです。

また、とりあえずキャラクターを脱がせる、性的アイコンとしてわかりやすく変換する、というのもまたよく使われる手法です。青年誌や最近の少年誌でもよく使われますが、性的アイコン化と言うのは得てして受け手の強烈な欲求と紐付けられ購買意欲につながるものです。安易ではありますが、確実な手法ではあります。

 

アイコン化というのは利点が多いものです。見ただけでわかるキャラクターという安心感、制作側のコスト軽減等、極端な話金に直結するソシャゲというジャンルとアイコン化の特性は上手くマッチしているのでしょう。

更に言えば、その情報から更に二次創作へと発展していかせやすい、というメリットが有ります。

一次創作側が完全にストーリーを作り手綱を握る状態では、あまり極端な二次創作ができないという欠点があるものです。

受け手の一部が欠けたストーリーの補完を担い、それが他の受け手に供給されることで元の隙間を埋める。本来は一次の主体がやっていたことを外部で勝手に補完してくれることでコストを少なく一つの市場が完成する、という状態です。

 

この状態には好ましくないことも多く、キャラクターにありえない行動をさせる二次創作が氾濫していることが最たるものではないでしょうか。

アイコンがはっきりしているコンテンツは得てしてそれを流用したコンテンツが作りやすいものです。

アイコンだけで成立するものであればともかく、きちんとストーリーを成立させた作品において、キャラクターにありえない行動を取らせることも少なくありません。

元の創作物を愛する人にとってはどうしても認められない事が多い、しかしその人気が出て作品の宣伝になるという結果も多く、なかなか難しいところではあります。

 

アイコン化はある意味で間口を広げましたが、その分全体の中でエゴイスティックな一部が目立つようになってきたのも事実です。

せっかく興味を持ってくれたなら、もっと記号以外のところも楽しんだほうが充実するよ、と思ってしまうものです。

アニメよもやま話 監督編


四方山話なのであまりガチな話はしないで行きます。


①監督の話

まぁ、業界の役割分担をそこまで理解してるわけではないですが個人的には方向性を決めて管理してスポンサーを騙くらかす人と解釈してます。

これからも色々な作品で登場するであろう名前をあげると

谷口悟郎

水島精二

あおきえい

岸誠二

渡辺信一郎

長崎健司

松本理恵

辺りを挙げておきましょう。

谷口監督に関しては好きすぎて長くなりそうなので、一番最後に。


水島精二

営業力が異常に長けてると思います。

代表作はガンダム00、楽園追放、ハガレン一期あたりでしょうか。

数々の制作会社を渡り歩く実力は伊達ではないと思いますが、作品として語り継がれるレベルのモノは作らない印象があります。

と、言うのも彼は自分の役割のこと以上の事をやらない傾向が強いと思います。脚本は脚本家の色がかなり出ますし、その辺に口出しするタイプではないと思われます。

逆に言えばその辺が魅力なのではないかな、と思います。水島精二といえば頻繁にスケジュール管理のうまさが話題になります。

時間の余裕ができれば作品のクオリティももちろん上がりますし、様々な修正も加えられます。その点失敗しづらい監督と言えると思います。


あおきえい

Fate/zero空の境界で名を馳せた監督です。

あまり好きではないので端的に言いますが、外的要因に振り回されるタイプであると思います。

アルドノアゼロの失敗が記憶に新しいですね、正直言うと仲のいい人を使うけれどその人を自由にさせすぎて失敗する印象です。

まだ若い監督なのでこれから先成長してメカアニメ業界を盛り上げてくれることに期待してます。


岸誠二

ぶっちゃけこの人の作品は監督名を見ただけで避けるレベルになってます。原作をそのままアニメにする事にだけ特化してるイメージです。

いい方向に出たのがペルソナ4、悪い方向に出たのがデビサバ2ですね。両方アトラスなのは僕がアトラス贔屓なだけです

オリジナル要素に関して下手すぎるのですが、原作が好きな作品だと案外動くだけで感動してしまうので完全に否定はしません……しかし、なら原作見なYOって感じです。


渡辺信一郎

音響、演出にスキルポイント全振りしているような、そんな感じです。

有名どころはカウボーイビバップサムライチャンプルーでしょうか

音楽と演出を高次元に融合させ、見ている間は飽きさせないというアニメを作ることだけ見れば素晴らしいのですが、如何せん……ストーリーが……残響のテロル……


長崎健司

ビルドファイターズ一期、血界戦線六話の絵コンテが印象的です。

現在放送中のクラスルームクライシス次第って感じですが、徐々に面白くなってきてるのでまた新しいアニメの監督するなら見たいですね。

ビルドファイターズの熱さはもはや語るまでもないっすね、フェリーニ戦で脳汁が搾り取られました


松本理恵

血界戦線ヤバ(以下略)

あのキャリアで血界戦線作ったのがヤバいです、ここから先の伸び代が楽しみすぎて夜も眠れない


ここから長くなります

谷口悟郎

半分信者と言ってもいいほど好きです、贔屓目が入るかもしれないのでご容赦を

有名どころはスクライドコードギアスでしょうか。今のところ「外さない」監督は谷口しか知らないです。あの大河内一楼を使いこなせるのは富野と谷口ぐらいでしょう。

谷口監督の作品は「綺麗に終わること」。この一点に関して凄まじい技量を感じます。

綺麗に終わらせるというのは逆に業界からは不評らしく、コードギアスリヴァイアスサンライズから続編製作依頼を断っていく結果、現在はフリーで色々作ってるみたいです。ファンタジスタッドー

与えられた一話尺の中で起承転結をつけ、作品全体での話作りも上手い。そんな印象があります。

脚本に手を加える率が高いことでも有名で、コードギアスのハッタリを効かせすぎたストーリーを破綻させず成し遂げたのはひとえに監督の力量であると思います(脚本の大河内一楼は視聴者を驚かせる展開に凝りすぎて終わりがおざなりになる傾向があります)

そんなわけで、個人的には谷口監督新作は必ず見るぞって具合になってるわけです。


以上がこれから先アニメ業界を引っ張っていけるだろうと思う監督です。結構キャリア長い人もいますがご容赦を

富野由悠季庵野秀明板野一郎押井守高橋良輔あたりのレジェンド級の後を継げる人が現れるか気が気でないのです。

オールタイムベストアニメ五選

ガンダムでオタクになってもはや10年が経とうとしている―それを考えた時、あまりにも進歩しない自分にどうしようもなく情けなくなったものです。

誰もが多岐にわたる趣味に没頭し、好きなモノを好きということへのハードルが下がった昨今、アニメオタクという人種も実に偉そうな顔をして歩いています。

そんな時代になったからこそ、昔からアニメが好きだった日陰者としてこんな面白いアニメもあるんだよーって言ってみたいわけです。

※ランキング形式ですが好みで全然変わるものですし、どれも面白いんだなーぐらいで見てくれれば幸いです。

 

それでは第五位!

スクライド」です!

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いきなりもはや語るまでもない名作で申し訳ない……。

多少アニメをかじっていれば見ていると思うんですが、26話に喧嘩をするために、そのためだけに作られたアニメと言っても過言ではないです。

もちろんそれまでの話も熱い、拳を握りながら涙を流す男たちの話が展開されていきます。

全てを拳に振り切った燃え上がるストーリーは何度も見たくなることうけあいです。

 

そして第四位!

血界戦線」!

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放送中のアニメでまじかよって思われそうですが、色々見てきてここまで楽しいアニメはなかったと思ってます。

トライガン内藤泰弘の漫画がアニメ化!ってことでまぁどうやっても面白くなったとは思うんですが、予想をはるかに超えた出来になっていておっさんびっくり。

ストーリーものと思われがちですが内容はなんてことのない最近流行りの日常もの。ただちょっと異形が出たり戦闘が起こったりしますがそれもほとんどはユカイな事件。

何よりも魅力的なキャラクターがそんな日常を騒がしく過ごしている。それだけで何度でも見たくなる名作だと思います。

 

この解説だけだと原作でもええやんってなるので補足を。

アニメ版では原作では女っ気のないレオくんにガールフレンドにような子ができることでボーイミーツガールな要素を入れて話を続きモノとして機能させています。

この効果は予想以上に大きく、ヘルサレムズロットの愉快な日常だけに収まらない怪作になっていると思います。

ヒロインは釘宮だよ!やったね!声優そんな興味ないっすけどね!

 

続けて第三位!

ガン×ソード

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谷口監督の作品が2つも入るとはたまげたなぁ……。

とにかく気持ちいい作品、その一言につきます。

嫁を結婚式に殺された童貞が復習の旅に出る、なんてひねった要素も少ない一作ですが、小難しい哲学はなくただ目的を完遂するヴァンの生き方はうじうじした主人公に辟易した現代にいい清涼剤でしょう。

谷口監督はとにかく娯楽を作るのがうまいなーと思わせられた一作です。

御託はいらない、とにかく理屈抜きで見てほしい一作です。

 

 

そして第二位!

蒼穹のファフナー」!

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こちらも現在「EXODUS」真っ最中ですね!終わってから絶賛しろって石が投げられそうです。

しかし、個人的には確信したのです。「EXODUS」九話でこれは名作になる、と。

絶望がーとか鬱アニメだーとか言われていますが、このアニメは大御所冲方丁の手腕でそれだけではない希望も見いだせるファッション鬱のノリがないところが絶賛の理由の一つです。

EXODUSまで来ると、それまでの全てを見た人への最高の祝福、圧倒的映像美とストーリーがが待っています。ぜひぜひレンタルビデオ屋にダッシュしましょう!無印、HAE、RoLの順番でイッキ見をおすすめします。

唯一の欠点が無印前半が面白くない……残念なことですが、そこだけは目をつぶって見て欲しいところです。後半への布石のようなもんです。

 

そして個人的、ベスト、第一位!

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そうですエヴァです、「新世紀エヴァンゲリオン」です。

やめて!最後にミーハーとか言わないで!好きなのよ!!

中学時代の僕を狂わせたモンスターアニメです。

ここでは「ヱヴァ」ではなく「エヴァ」の話をします、ファフナーはまとめたのにね……。

 

というのも、全く別作品、旧エヴァはあれで完結しているのです。

 

そしてこの作品の真骨頂はその難解なストーリーでも陰鬱な哲学でもなく、演出にあると僕は考えます。

旧劇の弐号機vs量産機で興奮しない男子はいねぇぜ……背徳的ヴァイオレンス、ここに極まれりッて感じです。

 

ストーリーに関しても、伏線丸投げだーとかわけわからんエログロだーって言われますが、25,26話を見れば話としてやりたかったこと、一人の少年の挫折と成長を描き切った話としては優秀だったと思います、

 

以上簡潔ではありましたが、個人的なベストアニメ2015編、いかがだったでしょうか。本来全作品が一つの記事になるほど思い入れのある作品、そしてここで零れたけど面白い作品はたくさんあります。

結局有名作品ばかりになってしまい、見たって人は多いと思いますが未見の方のきっかけになってくれれば幸いです。

聲の形読了

イジメという現代問題を取り上げ、この問題を肌で最も感じている層がメイン読者で有る週刊少年マガジンで連載するという挑戦的作品、「聲の形」を読了しました。

以前に冲方丁のマルドゥックスクランブルのコミカライズを担当し、その実力を存分に見せてくれた大今良時、連載開始から個人的にかなり期待していたマンガです。

さて、冒頭では「イジメ問題」と表現しましたが、本来であれば「身障者への差別を主題とした作品」と形容すべきでは?と思った方もいると思います。

僕がこのマンガを読んだ時は、この設定はそれそのものをテーマにする、というよりはある種のデフォルメとして感じました。

「耳が聞こえないから起こったいざこざ」よりも「現代のディスコミュニケーション聴覚障害という形で表現しやすくした」という感じです。

この前提で、僕はこの漫画に対して各々のキャラクターが人間関係に真摯すぎて浮世離れしてる、と感じました。

この傾向が顕著だったのが直花だったと思います。

キャラクターとしては他人に流されてイジメに加担するタイプの良くいる女の子という感じです。

彼女はイジメをしたことに対して今時美談として求められるような「自分の理解が足りなくて申し訳ない」と謝るようなことはしない、そしてよくあることだと開き直ることもない、この作品の登場人物の中では一番心が強いと思います。

身障者たる西宮に、嫌いだとタイマンで言えるだけのメンタルを持つ人間は恐らく現実ではありえないと思います。

そもそも避けるか、裏でコソコソと嫌がらせをするのがせいぜいでしょう。

真っ向から、二人きりで、密室で嫌いだと宣言し、その嫌いな感情の出処と理由を考え煮詰め本人に伝える、これだけ自分のやった行為と他人への気持ちを考えられる人間はリアルではあり得ないでしょう。


突出したキャラクターとして直花を取り上げましたが、他のキャラクターにも共通する端的に言えば自分の行為を考えることがリアルではあり得ない話なのです。

「周りが無視したから自分も無視した」「友達が嫌いだから自分も嫌い」といった具合に、良かれ悪しかれの判断はとりあえず置いて空気との同調、そうすれば考えずに済む、といった人が大多数なのが現実です。


この漫画はリアルだとか現実問題に鋭く切り込んでるとかそんな意見が多いので個人的に感じたことをまとめてみました。

一つの作品としての完成度はかなり高いと思いますが、あくまで仮想空間に留まる解決に至った、というのが私見です。